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某所で発表した、エドティナのショートショート小説に、若干の加筆修正を加えて転載します。うちの陛下は、こんな感じです、というお話。 ============= 「どうしたの?」 エドガーは、隣に座っている少女に声をかけた。 街に着く前に日が落ちてしまったので、野営をしていた。眠る前に、テントのそばを流れる小川で水をくみ、魚を捕って簡単な食事を作ったところだった。 ぱちぱちと音をたてて、はぜる焚き火を見つめながら、ティナはつぶやいた。 「……おなか、すいてません」 お茶の入ったブリキのカップを握りしめ、目を伏せているティナに、エドガーは優しい声で言った。 「そうかな?一日中歩きづめだったし、ろくなものも口にできなかったから、空腹を感じていなくても、少しは何か食べたほうがいいね」 「そーだよ、ティナ、ほら焼けたぜ、魚」 ロックが、棒にさした焼いた魚をティナに差し出した。 ティナは、ふるふると首を振った。 「もしかして……魚、食べたこと、ないのか?」 ロックが聞いた。帝国は内陸の地にある。そこから来たティナが魚を食べたことがないのかもしれないのも、うなずける話だった。 「……覚えていません」 あやつりの輪のせいで失われていたティナの記憶は、徐々に戻って来ていたが、まだ断片的なものであるらしかった。小さな声で、彼女は続けた。 「でも……それは、食べられません。目が……」 「目?」 エドガーとロックは顔を見合わせ、それから焼き魚に視線を落とした。 「目がこっちを見ているような気がして……」 「……なるほど」 ロックが手にした焼き魚を、まじまじと見つめた。んなこと、考えたこともなかったな、とつぶやいている。 エドガーが、もう1本の串をとった。そしてティナの方へ差し出し、こう言った。 「それならね、目をつぶってお食べ」 「え」 「ほら。あーんして」 ティナは目を閉じ、おそるおそる口を開けた。上手に噛み切れるように、エドガーが手をうまく使って助けてやる。 「……おいしい?」 もぐもぐして、飲み込んだところで、ティナはこくんとうなずいた。 「そう、よかった。これなら食べられるね」 「はい……ありがとう、エドガーさん」 「さんはいらないよ」 「……エドガー」 「どういたしまして」 ティナがテントの中で眠りについた後、ロックがヒイヒイ笑いながら言った。 「エドガーってさ、子持ちみてーだな!」 「失礼な。あれは、弟が小さいころ魚が食べられなかったから、ああやって食べていたのを思い出して、やってみたのだよ」 「どっちにしても、世話焼きだなー」 「……」 おしまい |
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