陛下番日記

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help リーダーに追加 RSS エドティナその1

<<   作成日時 : 2008/02/11 18:23   >>

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某所で発表した、エドティナのショートショート小説に、若干の加筆修正を加えて転載します。うちの陛下は、こんな感じです、というお話。


=============


「どうしたの?」
エドガーは、隣に座っている少女に声をかけた。
街に着く前に日が落ちてしまったので、野営をしていた。眠る前に、テントのそばを流れる小川で水をくみ、魚を捕って簡単な食事を作ったところだった。
ぱちぱちと音をたてて、はぜる焚き火を見つめながら、ティナはつぶやいた。
「……おなか、すいてません」
お茶の入ったブリキのカップを握りしめ、目を伏せているティナに、エドガーは優しい声で言った。
「そうかな?一日中歩きづめだったし、ろくなものも口にできなかったから、空腹を感じていなくても、少しは何か食べたほうがいいね」
「そーだよ、ティナ、ほら焼けたぜ、魚」
ロックが、棒にさした焼いた魚をティナに差し出した。
ティナは、ふるふると首を振った。
「もしかして……魚、食べたこと、ないのか?」
ロックが聞いた。帝国は内陸の地にある。そこから来たティナが魚を食べたことがないのかもしれないのも、うなずける話だった。
「……覚えていません」
あやつりの輪のせいで失われていたティナの記憶は、徐々に戻って来ていたが、まだ断片的なものであるらしかった。小さな声で、彼女は続けた。
「でも……それは、食べられません。目が……」
「目?」
エドガーとロックは顔を見合わせ、それから焼き魚に視線を落とした。
「目がこっちを見ているような気がして……」
「……なるほど」
ロックが手にした焼き魚を、まじまじと見つめた。んなこと、考えたこともなかったな、とつぶやいている。
エドガーが、もう1本の串をとった。そしてティナの方へ差し出し、こう言った。
「それならね、目をつぶってお食べ」
「え」
「ほら。あーんして」
ティナは目を閉じ、おそるおそる口を開けた。上手に噛み切れるように、エドガーが手をうまく使って助けてやる。
「……おいしい?」
もぐもぐして、飲み込んだところで、ティナはこくんとうなずいた。
「そう、よかった。これなら食べられるね」
「はい……ありがとう、エドガーさん」
「さんはいらないよ」
「……エドガー」
「どういたしまして」

ティナがテントの中で眠りについた後、ロックがヒイヒイ笑いながら言った。
「エドガーってさ、子持ちみてーだな!」
「失礼な。あれは、弟が小さいころ魚が食べられなかったから、ああやって食べていたのを思い出して、やってみたのだよ」
「どっちにしても、世話焼きだなー」
「……」

おしまい

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