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久しぶりの更新になりました。 某所で発表し、その甘々度の高さに好評をいただいた小説をアップします。 感想などいただけると嬉しいです。 ======== カ・ホ・ゴ ……くしゅん。 ちいさな動物の咳払いのような、ティナのくしゃみが響いた。 「戻るぞ」 エドガーがくるりと踵を返して、一同に言った。 「ええ!?まだ入ったばっか……」 お宝・お宝♪と鼻歌を歌いながら、先頭を歩いていたロックの抗議も無視して、最後尾にいたティナに、ばさりと自分のマントを着せかける。 「あー。そういうことね……」 セリスが言う。ハテナマークを頭の上に浮かべているロックに、セリスは「カ・ホ・ゴ」と耳打ちした。 今まで誰も入ったことのない洞窟を発見し、中を探索し始めて、二十分ほど経ったところだった。湿気が多く、あちらこちらでピチャピチャと水滴が落ちる音がしていた。 「過保護ではない」 地獄耳かつ過保護なエドガーが、セリスに反論した。 「わ、わたし、大丈夫よ!ちょっと鼻がむずむずしただけで……」 片手で鼻をおさえながら、ティナが言った。でも、エドガーは着せかけたマントの前ボタンをしっかりと留めながら、小さい子供に言って聞かせるように話した。 「くしゃみは、3回目からは風邪の予兆だよ」 「俺、ここで待っててもいいんだけど……」 ロックが珍しく我を張ろうとすると、 「正直言って、ここのモンスターに手をやいているのは誰かな?一人で残って襲われたらどうする。いったん戻って、ティナはマシアスか誰かに代わってもらおう」 と、エドガーは冷静にレベル分析をした上で意見した。全く言う通りなので、しぶしぶロックも従った。 飛空艇に戻ると、エドガーも残ると言い出した。 「大丈夫よ……!ちゃんと横になって休むわ」 パーティーのメンバーがエドガーの戦闘能力に頼っていることを、よくわかっていたので、ティナはそう言った。 「そう言って君はこの間、皆の分の食事の支度やら何やらで動き回って、結局休息をとらなかっただろう」 自分の体力の限界を考えずに動いてしまうティナは、確かにエドガーがブレーキをかけないと倒れてしまいそうだった。 「おもりなら他のヤツでもいいんじゃね?」 ロックの言葉に、エドガーは首を振った。 「まず、セッツァーは船のメンテナンスで手いっぱいだろう」 そういえばメンバーが船に戻ったというのに、セッツァーは機関室に閉じこもったきりで、顔も見せない。ファルコン号はここ最近、エンジンの調子がよくなかった。 「ハイハイ!あたし!」 「リルム。君じゃどっちがお守りかわからないよ」 「しっ、失礼な奴!」 「でも言う通りじゃの」 「ガウ……」 ストラゴスとガウにまで同調されて、リルムはぷくーっとふくれっつらをした。 「拙者とマッシュ殿、セリス殿、ロック殿で、その洞窟に赴くでござるよ」 カイエンの言葉で、場は丸くおさまった。 洞窟に戻り、しばらく歩いた後で、セリスがうっかり気がついてしまった。 「ていうか、私が残ればよかったんだわ!」 「セリスは一緒に来いよ!」 「どうして?」 思わず発したロックの言葉に、セリスはいぶかしげに聞いた。 「え……えーと、その、ほら、敵が魔法使って来たら、吸収できるのって、セリスしかいないし……」 「その理論だと、私はずーっと休めないことになるんだけど」 「う」 「まあ、いいわ。なんか魔法使ってくる敵、多いし。行きましょ」 「で、でもさー、やっぱり『エドガーが残る』が正解だったかもな」 「どうしたロック。反抗期終了か?」 マッシュの軽口に、俺は思春期じゃねーよ、と言い返しておいて、ロックは言葉を続けた。 「だってよー、あれ以上、あの王様のカ・ホ・ゴ、見てらんねーじゃん」 えほん、とカイエンは咳払いをして先頭を歩き出した。何も言わないのが肯定のしるしらしい。 「熱いからね、気をつけて」 エドガーが息を吹きかけて冷ましたショウガ入りの紅茶を飲ませてもらおうとして、 「っくしゅ!」 とティナがしたくしゃみは、風邪ではなく皆の噂のせいだったかもしれない。 終 |
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